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【院長コラム】糖尿病網膜症

2022.05.05

【院長コラム】糖尿病網膜症

東大阪市の三宅医院は地域のかかりつけ医として、地域の皆様の幅広いお悩みにお応えしつつ、総合内科・糖尿病専門医として専門的な治療をお届けしております。
糖尿病などの生活習慣病のご相談以外にも、「どの科に相談すればいいかわからない」というご相談にもしっかりとお応えし、皆様の健康維持・病気予防に貢献させていただきます。

こちらのブログでは病気や気になる症状に関わる様々な情報を発信して、少しでも皆様の不安解消に繋げられればと思っております。
今回は“糖尿病網膜症”についてお話しします。

糖尿病網膜症とはどんな病気でしょうか?

糖尿病網膜症は、糖尿病になったのち数年〜10年以上経って発症すると考えられる病気で、腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症と呼ばれています。

眼の一番奥には網膜があり、たくさんの毛細血管が存在しますが、糖尿病の方は血糖が多いため血管の壁に負担がかかったり、毛細血管が詰まったりして、眼底出血を引き起こすことがあります。

こうして血流が阻害されると、網膜に酸素や栄養が行き渡らなくなってしまい、糖尿病網膜症の原因となるのです。

病状が進行すると硝子体(しょうしたい)で大出血が起こって失明するケースもあり、日本では成人における失明原因の第1位が糖尿病網膜症となっています。

糖尿病網膜症の3つの段階

糖尿病網膜症は病状の進行により、次の3つの段階に分けられます。

・単純糖尿病網膜症

初期の段階であり自覚症状はほとんどありません。

血管瘤(毛細血管瘤)という細い血管の壁が盛り上がったものや、点状・斑状出血がみられます。

・前増殖糖尿病網膜症

広範囲で網膜の血管が閉塞し酸素が不足すると、足りなくなった酸素を供給しようと新生血管(新しい血管)を作る準備が始まります。

この段階になると、目のかすみなどの症状にご自身で気づくことが多くなります。

・増殖糖尿病網膜症

新生血管が網膜や硝子体に向かって伸び出します。

血管の壁が破れた場合、黒い影や虫、ゴミのようなものが見える飛蚊症の症状を自覚したり、出血量が多いと視力が急に低下することがあります。

また、増殖組織と呼ばれる線維性の膜があらわれ、網膜を引っ張ることで網膜剥離(牽引性網膜剥離)を引き起こす場合があります。

単純糖尿病網膜症から増殖前網膜症の段階ではご自身で病気に気づくことが難しいため、眼科で定期的な検査を受けるようにしましょう。

また、血糖値を適切にコントロールして糖尿病の進行を抑えることも、合併症を防ぐうえで大切なポイントとなります。